アラブとイスラム そして日本

今回紹介するのは、アラブ人のアハマド君(仮名)との意見交換した内容をまとめてみました!

 

みなさんにとって馴染みのないイスラム教、イスラム文化、アラブ人について出来る限り伝えようと思います!

 

アハマド君

佐藤さん、お疲れ様でした。文化の違う国に住んで活躍する(活動する)というのは、非常に素晴らしいと思います。考え方や人との関わり方、世界とニュースの見方などが変わって人は成長します。やはり、他の国の文化を理解するためには長期滞在が必要ですよね。

 

佐藤さん

ありがとうございます。

全くその通りです。旅行での短い滞在では見ること、感じることのできない現地の人の生活を知ることができました。

私が活動していたのは、パレスチナ難民キャンプの小学校でした。

ところで、アハマド君生い立ちはどうなのでしょうか。

 

アハマド君

ヨルダン川西岸地区は昭和63年までヨルダンの一部でした。従って、ヨルダン川西岸地区の人たちはその前は皆ヨルダンの国籍を持っていました。その後、パレスチナの政府ができて、その人たちが続々とヨルダンの国籍をなくしてしまいました。その地域の出身の人たちの一部は他の国に住んでいて、パレスチナ人としてみなされていませんでした。現在その方々はエルサレムなどにある実家に一生戻れないというのが現状です。

 

佐藤さん

私が活動していた難民キャンプではすでに三世が存在しています。1948年に母国を追い出されてから71年という月日が流れていますが、未だに帰ることができないというのが現状です。キャンプは町化してきており、テント生活ではなく居住地化してきています。

日本もアメリカから原爆を落とされて広島と長崎が大変なことになりました。そのことについて、日本人はアメリカを許すことができるのか。俺たちは今でも許すことができない(パレスチナ人がイスラエルを)早く母国に帰りたいといつも言っていました。幸いにも私たち日本人は国を追い出されたわけではないので、そこの違いは大きいのかもしれませんね。

 

現地の難民キャンプについて

現地の難民キャンプは暖房も冷房もなく、夏は40度前後まで気温が上がり、冬は0度前後まで下がり、雪が降ることもあります。そんな過酷な環境で生活をしていますが、先ほどにも述べたように難民キャンプとはいえ町化してきており、立派な居住地となってきています。世界にはまだまだテント生活をしている難民がいる中で、こちらの難民キャンプは居住地として申し分ないと思いました。

 

アハマド君と佐藤さんの見解

お互い母国の国民に対して、もっと海外を見るべきだと主張しています。

例えば、サウジアラビアでは女性が運転をしてはいけないと決められていました。これはコーランには書いていない内容でした。2018年9月から女性の運転が許可されました。

コーランは人の行動を制限するものではなく、フレキシブルにやるべきだと書かれており、強制はないそうです。

宗教は人を信じることであり、他人に『やれ』と言われることではないのです。自分で考えて、コーランを読んでから他人の言っていることが正しいかどうか判断しなければならないと思います。

コーランに書かれていることを紹介きます。

 

"لَا إِكْرَاهَ فِي الدِّينِ ۖ قَد تَّبَيَّنَ الرُّشْدُ مِنَ الْغَيِّ"

 

日本語に訳すと:宗教に強制があってはならない。正に正しい道は迷誤から明らかに。

だから、自分の宗教を人に押し付けることがイスラム教的にダメです。

 

それはイスラム教徒だけでなく、全ての人に理解してほしいです。

 

佐藤さん

その通りですよね。私たち日本人は時折報道されるイスラム国のことばかりニュースで見る影響から、イスラム教徒への偏見は強いと思います。宗教を選ぶ権利は人それぞれにあり、自由ですよね。みんながそれぞれ相手を尊重し、共存できる世界ができるといいですね。

 

また、以前現地のイスラム教徒の若者がこんなことを言っていたことがあります。

コーランは時代に合っていないからアップデートすべきだ。』

このことについてはアハマド君はどう思いますか。

 

アハマド君

アップデートをすればいいということではなく、理解度を改めて高めるべきだと思います。コーランに書かれていることは至極当然であり、特別なことが書かれているわけではありません。一人ひとりの解釈の仕方にズレがあります。

また、一人ひとりの解釈の仕方にズレがあることは問題ではなく、むしろいいことだと思います。問題になるのはそこで生じる討論の仕方です。自分の考え方が正しいと信じていても、他人の考え方も正しい可能性もあるという態度、他人を尊重することが必要です。

 

アハマド君から見る日本について

日本は働き過ぎて時間がないから、家族との距離が離れてしまっている。あるいは、近所の人との接点が少ない。例えば我が国では家の外に出れば誰かしらがいてサッカーをしているから、会った瞬間に友達になれる。そして、そこで友達になった人とは、これからレストランに行くから一緒に行こうと誘えば、OK行こうみたいになります。このように全くの他人でもすぐに友達になり時間を共にし、助け合う生活をしています。ですが、今の日本ではこのような人の繋がりが少ない印象を受けます。

 

語学について

日本語のアニメから勉強する外国人は、その影響からタメ口が多いと思います。一方でアハマド君のように大学院の論文等難しい言葉遣いを中心に勉強し、教授とコミュニケーションを取っている方は綺麗な日本語を話します。(敬語や丁寧語など)

先生など目上の方と話すのであれば、丁寧な日本語を使うのは当然のことであり、日本語を勉強すればそれは分かると言っていました。

また、分からない言葉を聞いても、日本人ですら分からない言葉がある。携帯やパソコンの普及により、文字を書かなくなったことが原因であるということも知っていました。

アラブ人でもアラビア語の文法がめちゃくちゃな人がいるし、発音ができない人もいます。日本でも企業向けの文章の書き方が分からないなどと同じです。だから、日本人も恥ずかしがらずに英語やアラビア語を話してもいいと応援してくれました。

日本語は語彙が多くて、英語を借りなくても生活ができてしまうから英語を使う機会が少ない。だから、英語ができない人が多いと思います。例えば、我が国では大学で専門的な勉強をするときは英語でやります。専門用語については英語で理解しているため、アラビア語は知らない場合が多いです。

 

最後に

まとまらない文章となってしまいましたが、何が言いたいかって、

イスラム教、ムスリムと聞いて偏見を持たないで欲しいということ。

日本では事件があった時にしか聞かないワードだと思いますが、まずはその人のことを知ろうとして欲しいということです。

 

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